【コラム】クラロワリーグ発足!二分化するeスポーツ界隈の今後は?

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(このページは2017年3月14日に更新されました)
「続々と発表されるeスポーツリーグが独自路線なのはなぜ?」
「2分の様相をみせる国内eスポーツ界はどうなるの?」
この記事はそんな方へ向けて書いています
こんちわっす。ada( ada_coc )です。eスポーツの流れを興味深く見ている1ゲームファンとして、最近の界隈の流れ、今後についてまとめてみた。
2018年に注目を集めるeスポーツ界に、ビッグニュースが発表された。
世界展開しているモバイルゲーム会社 Supercell の人気ゲームタイトル、クラッシュ・ロワイヤル(以下、クラロワ)が、公式プロリーグ「クラロワリーグ」を発表。その他のゲームタイトルも続々と独自リーグを発表する事態となっている。
日本eスポーツ連合(以下、JeSU)が打ち出した ”プロライセンス制度 = 高額賞金大会” の認定を受けないリーグが続々と出てくるのはなぜ?
大きく違う2つの道を進む国内 eスポーツ界の今後とは?
目次
Supercell社、公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ」を発表!
フィンランドにある Supercell社 の人気ゲーム「クラロワ」が、2018年3月、公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ」を発足 し、本格的にeスポーツに参入する。
【クラロワリーグ発足!】
公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ」を発足し、eスポーツに本格参入します👍
「プロ選手」を目指し、まずは3月14日〜18日に行われる「クラロワリーグ20勝チャレンジ」に挑戦してみてくださいね🙃 #クラロワ▼クラロワリーグの詳細はコチラからhttps://t.co/wrbR3tQFi5 pic.twitter.com/X4EWrbBwNk
— クラッシュ・ロワイヤル公式(クラロワ) (@ClashRoyaleJP) 2018年3月7日
『クラロワ』は、制限時間3分で手持ちのカード8枚を駆使してバトルする、1対1のリアルタイム型対戦ゲーム。
2017年には公式初となるクラロワのプレイヤー頂点を決める、賞金総額約1億円のeスポーツイベント「クラロワ 世界一決定戦(CROWN CHAMPIONSHIP)」を開催。全世界187カ国から2,700万人以上のプレイヤーが参加した。
2017年 クラロワ世界一決定戦より
「クラロワリーグ in アジア」について
【名称】
クラロワリーグ in アジア/(英語名称)Clash Royale League in Asia【リーグ概要】
2シーズン制。各シーズン約70試合。総当たり戦を行い、トップチームがプレイオフへと進出。【2018年スケジュール】
■3月14日〜18日…「クラロワリーグ20勝チャレンジ」
■3月下旬〜4月上旬…「オンライン大会」「プロ選手選考会」など、任意参加のアピールチャンス
■4月中旬…「プロ選手」および所属リーグ発表
■4月下旬… 1st シーズン開幕
■8月… 2nd シーズン開幕
■冬… 世界一決定戦
※日程は日本時間 ※変更の可能性がございます【「プロ選手」について】
■契約期間は2018年12月31日までとする
■年齢制限は2018年4月1日時点で満16歳以上(18歳未満のプレイヤーは保護者の承諾が必須)
■報酬はプロ選手とチーム間で協議し、決定する
■プロ選手はシーズン中はすべての試合に参加すること
■プロ選手はリーグが定める大会や撮影等の参加を条件に、学生やほかの職業に就いていても可とする
■過去のクラロワ公式または公認イベントでの成績を踏まえ、「クラロワリーグ20勝チャレンジ」の結果に関わらず、「特別選手」としてチームに最大2名まで所属できる。プロ選手の選考はチームにて行う
※なお、チーム参加条件や報酬などは各チームにより異なります【日本チームについて】
GameWith / Gzブレイン / DetonatioN Gaming / PONOS sports(50音順)
各チーム、4~6名のプロ選手と、監督またはマネージャーが所属します。【ボーナス】
トップチームへのボーナスは総額は2,000万円。【デバイス】
「クラロワリーグ in アジア」はGoogle Playとパートナーシップを組み、すべての試合はAndroidのデバイスを用いて行われます。
クラロワリーグ発表のあと、プロリーグを発表しeスポーツに参入するニュースが続いた。
CyberZは、2018年5月開幕の『RAGE Shadowberse Pro League』を発表。
Jリーグは、2018年3月30日よりe-Sports大会『明治安田生命 eJ.LEAGUE』の開催を発表。
3月に入って発表された3つのプロリーグはすべて、JeSU未加盟の独自路線 で開催される。
独自路線 vs プロライセンス(JeSU)路線
2018年3月現在の国内eスポーツリーグは、大きく2つの路線に分かれている。
- 独自路線(JeSU未加盟)
- プロライセンス路線(JeSU加盟)
独自路線(JeSU未加盟)とは?
リーグ名 | ゲームタイトル | 主催 | デバイス |
明治安田生命 eJ.LEAGUE | EA SPORTS FIFA 18 | JFL | PS |
クラロワリーグ | クラッシュ・ロワイヤル | Supercell社 | スマホ(Android) |
RAGE Shadowberse Pro League | シャドウバース | CyberZ | PC・スマホ |
PUBGプロリーグ | PUBG | DMMGAMES PUBG Corp. |
PC |
日本eスポーツリーグ | FIFA 18 BLAZBLUE CENTRALFICTION Overwatch |
eスポーツコミュニケーションズ合同会社(eSC) | PS4・PC |
League of Legends Japan League*1 | League of Legends | Riot Games | PC |
*1:League of Legendsの2018年3月時点でのJeSU加盟は不明
プロライセンス路線(JeSU加盟)とは?
ゲームタイトル | メーカー | デバイス |
パズル&ドラゴンズ | ガンホー | スマホ |
ウイニングイレブン 2018 | KONAMI | PS4 |
モンスターストライク | ミクシィ | スマホ |
コール オブ デューティ ワールドウォーIIPS4向け | ソニー | PS4 |
ストリートファイターV | カプコン | PS4、PC |
tekken7 | バンダイ | PS4、Xbox One |
ぷよぷよ | セガ | PS4 |
プロライセンスを提唱しているJeSUへの加盟は、2018闘会議で認定された6タイトルと3月に追加認定のぷよぷよとなっている。
なぜ?続々と独自路線リーグが出て来たのか
2018年になって、続々と発表される国内eスポーツリーグ。なぜ、国内統括を図るJeSUに加盟せずに、独自路線でのリーグ開催が続くのだろうか。
JeSU未加盟を発表しているクラロワリーグ・シャドウバース プロリーグ・eスポーツ事業に参入した吉本興業のコメントを見てみよう。
クラロワリーグについて
【クラロワリーグ】Supercell eスポーツ アジア担当の殿村博氏
『クラロワ』のJeSU(日本eスポーツ連合)への参加は、まずはグローバルな展開に比重を置く都合上、今のところは考えていない。
出典:『クラロワ』e-Sportsに本格参入より
シャドウバースについて
RAGEの企画・運営を行うCyberZの取締役でプロリーグの運営責任者でもある”青村 陽介”氏
――プロチームの所属選手は、所属企業からスポンサードを受けているのでしょうか。それとも企業の社員という立場で参加するのでしょうか。
青村:そこの形式はチームの裁量にお任せしています。なので、直接雇用してもいいと思いますし、タレント雇用みたいな形でもいいと思います。そこの形式は問いません。ただ、チームから選手のみなさんへの最低保証として月額30万円を支給していただきます。
出典:ファミ通 App : 選手は月額30万円保証!RAGE『シャドウバース』プロリーグ発足についてキーマンを直撃!より
eスポーツ事業参入を決めた吉本興業のコメント
先日設立された「日本eスポーツ連合」との連携などは、現状特に無いようです。ただし、今後どこかのタイミングで連携する可能性はあるとのこと。
三者三様だが、プロライセンスなしでのリーグ開催・eスポーツ参入を行う模様。
プロライセンス制度の疑問とJeSUへの不信感
2017年に国内3団体だったeスポーツ団体を統合したJeSU。
高額賞金大会が可能というプロライセンス制度 を提唱し発足した。
公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)加盟を狙い、2019年にeスポーツ採用が決定しているジャカルタでのアジア大会、さらには検討されている2024年のパリオリンピックへの選手派遣を目ざしている。
しかし、ゲームコミュニティー、IPホルダー(IPとはゲームの版権を指す=ゲームメーカー)への説明が不十分であり、大きな波紋を引き起こしている。
- 高額賞金?労務報酬?実態が不明瞭
- プロライセンス制度が本当に必要なのか?
- コミュニティーへの説明が不十分
- 認定されるゲームタイトルは国内ものばかり
2018闘会議で、高額賞金と謳っていたのに実態は仕事としての労務報酬だった
↓
労務報酬であれば、従前のやり方で可能
↓
コミュニティー・IPへの根拠ある説明がない
日本のゲーム界隈は、それぞれのゲームコミュニティーの地道な活動で発展してきた。イベントの企画運営、プロゲーマーの試行錯誤。コミュニティーは苦労してきたからこそ、プロライセンス制度という分かり易い形に賛同したが、実態はどうなのか。
ライセンスがなくても、従来の労務報酬形式で報酬は可能となっている。疑問が残るライセンス制度にJeSUは、なぜ言葉を濁しているのか。
そのことが、コミュニティー、IPに不信感を引き起こしている。
賞金大会に関する法的問題の明確化
プロライセンス制度の必要性に関して、法的側面より疑義を呈した木曽崇氏(国際カジノ研究所 所長:@takashikiso)のおかげで、皮肉にも法的にクリアな大会形式が明確になってきた。
JeSUが言葉を濁せば濁すほど、プロライセンス制度の必要性に疑問を感じる。
浜村氏(JeSU副会長)の説明では、
「プロゴルファーと同じで、プロなら高額賞金が受けられる。」
浜村氏のコメント:
ちゃんと消費者庁の方から、2つ方法があって。
1つは取引付随性のない、全然関係ない第三者がお金を出すなら、問題ない。もう1つはプロライセンスなら、わかりやすくその人が高度のパフォーマンスを出せるっていうことを言えるので、報酬として払う整理がしっかりできます、という言い方をされたんですね。
ボクらはその意向を受けて、プロフェッショナルライセンスっていうのでいいんだねということで議論をしたんです。
浜村氏は、プロライセンス制度の必要性を「報酬を払う整理」「高度のパフォーマンスを出せる証明」のためと説明している。
しかし、確認をとったという消費者庁より、全く違う見解が出されている。
木曽氏によると、週刊ファミ通が3月8日発売号にて組んだeスポーツ特集内に、景品表示法(景表法)を管轄する消費者庁より、直接コメントを得たとのこと。
ファミ通編集部が直接、景表法を所管する消費者庁から得たコメント:
消費者庁表示対策課長・大元慎二氏:
「esports大会出場者が優れた技術によって観客を魅了する仕事をし、その報酬として賞金を得る場合、その賞金はプロ・アマを問わず、景表法で言う”景品類”には該当しない。」
消費者庁が「優れた技術によって観客を魅了する仕事をし、その報酬として賞金を得る場合、その賞金はプロ・アマを問わず景表法で言う景品類には該当しない」と明言してるにも関わらず「我々の認定がないプレイヤには賞金は出せない」と主張する団体は、一般プレイヤから支持され続け得るのでしょうか?
— 木曽崇@「夜遊びの経済学」絶賛発売中! (@takashikiso) 2018年3月12日
いったい、JeSUの提唱したプロライセンス制度の必要性はどこにあるのだろう。
海外ゲームタイトルの見限り
今回、独自にクラロワリーグを発表した Supercell は、不透明なプロライセンス制度の認定を受けなくても十二分にプロリーグ、世界リーグの開催が可能なことを証明している。独自のリーグや日本一決定戦で、日本代表を選出するシステムは実現済み。
『明治安田生命 eJ.LEAGUE』 に関しては、報酬に関しては検討中だが国内リーグの勝者にはW杯の出場権が与えられる。
国内・海外ゲームタイトルにとって、JeSUに加盟するメリットが感じられないのだろう。
プロライセンス認定タイトルは、アジア大会・オリンピックに採用される?
JeSUが認定した7タイトル(今後も増えていく可能性はあるとのこと)は、国内ゲームタイトルが並んでいる。果たして、アジア大会・オリンピックで採用されるタイトルは、国内?海外ゲームタイトル?どれになるのだろう。
過去の大会での公認競技を見ると、最低でも以下のポイントはおさえておく必要がある。
- 男女平等
- 国際的普及度
- ベストな選手が参加可能?
- 会場の利用性(ロンドンオリンピックでは、野球場がないためにという話も)
- 暴力、爆発、殺害についてのビデオゲーム
- ルートボックス・ガチャの有無
- ドーピング問題・ゲーム依存症
日本やアメリカで人気の野球が、ロンドンオリンピックで除外された理由は、ヨーロッパでの普及率の低さに加えて開催できる球場がなかったため。国内で人気のゲームタイトルは、世界的に見た場合はどうなのか。パリオリンピックで採用されるゲームタイトルは、ヨーロッパでの普及度が重要となるだろう。
暴力・殺害のビデオゲームやガチャによる不公平性が存在する場合も、検討課題となる。
世界的な普及度で見た場合、認定を受けない海外ゲームタイトルが選ばれる可能性も高い。仮にクラロワが選ばれた場合、選手派遣をJeSUはどうするのだろうか。
国際オリンピック委員会(IOC)は、eスポーツに注目している。リオオリンピックでは動画配信サービスの オリンピックチャンネル を立ち上げ、平昌冬期オリンピック開会式の2日前、史上初となる五輪公認のeスポーツ大会を開催している。
オリンピック視聴者年齢層の上昇に伴い、若年層の関心が高いeスポーツは無視できない存在となっている。
しかし、オリンピックに採用されているスポーツと違い、ゲームはあくまでも1ゲームメーカーの商品となっている。
選ばれれば天国、落ちれば地獄のタイトル選定となるだろう。
国内を2分することは、今後の大きな支障となる可能性
プロライセンス制度を提唱するJeSUと、独自路線を進むプロリーグとの2つの道。
多くのリーグが立ち上がっている2018年は、国内eスポーツ界の新しい一歩となる。未来に向けて、多くの課題と向き合いながら進んで行くことになる。
プレイヤーが振り回されることは勘弁してほしい
法的問題がクリアできず、コミュニティーへの信頼を欠く対応を続けるJeSU。プロライセンス制度に法的根拠があるなら、明確に示して理解を求めるべきだろう。
現状のままでは、アジア大会・オリンピックに選手を派遣するためにも必要なJOCへの加盟も危ういだろう。eスポーツ統括団体として、国内ゲームタイトル・プロリーグをまとめること。法的クリアなリーグ運営を指導すること。
自らが、グレーなライセンス制度を推し進めているようでは問題である。
JeSUに振り回された結果、日本eスポーツ界が世界に遅れを取っていくことは、コミュニティー・IP・日本のファンにとっても絶対避けたいこと。
eスポーツ認知向上の大きなチャンスのアジア大会・オリンピック
2017年12月に調査されたeスポーツ認知度。
>>eスポーツ4人に3人は「知らない」 ネット観戦体験も5%に届かず(毎日新聞)
国内には依然として、ゲームは子供がするもの。ゲームがスポーツ?といった認識が大半となっている。そもそものeスポーツという言葉自体を認知されていないのが現状。
海外と比べ、国内のeスポーツを取り巻く環境は大きく遅れをとっている。
冬季オリンピックでカーリングがスポーツとして認知され人気を得たのは、カーリングを支え応援してきた人たちがいたから。そして、オリンピックに出場し人の目にとまるチャンスをつかんだから。
昔からゲームを楽しみ、世界と戦ってきた人にとって、今更、eスポーツ?なんだそれという気持ちがある事は理解できる。しかし、オリンピックがeスポーツに着目している事実。そして、ゲームを真剣に遊んできた人たち、これからプロゲーマーを目指す若者たちのためにも、国内の統括団体を整備し、未来のeスポーツ界を作っていくことが必要だろう。
JeSUが担うべき役割は大きいはず。
必要性を感じないプロライセンス制度を掲げることより、コミュニティーに真摯に向き合い、eスポーツの環境を整えること。
- 健全なリーグ運営のサポート
- 国際大会への日本代表の派遣
- プロゲーマーのキャリアサポート
- 国際eスポーツ連合との折衝
- 海外ゲームタイトルとの連携
各々のゲームコミュニティー・IP・関連企業で動いていく国内eスポーツ界を、健全な方向に牽引する責務があるはず。5年後、10年後に、日本中をeスポーツの熱狂が渦巻くシーンを思い描きながら、昨今の走り始めた2つの道を行くeスポーツ界を危惧してしまう。
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★彡 これもクラクラしちゃうはず!
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